平郡島

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移住の先輩の暮らし2023/03/10 (2016/8/25初出)

岡田さん夫妻

家族構成: 武夫さん、ナミ子さん(共に平郡東出身)

※ この記事は2017年、アメーバブログ「物語が始まる島 平郡島」に投稿した記事を再編集したものです。

島の生活(山編)

「子どもの頃、親がみかんを作っていたんだよ。
でも当時、僕は畑が嫌いだったから、手伝いはあまりしてなかった。」
2009年、64歳で平郡東にUターンした岡田武夫さん。
山の中腹にあるみかん畑は、25年間放置されていたため雑草や木々が生え、木の上にはカズラが覆いかぶさっていました。
「畑というよりは、山になってしまっていたね。
親が植えたはっさくの木を見つけたから、周りの草を刈ってみたんだよ。
今度は竹が見えたから、スコップで掘り起こして。
木ものこぎりで切って、根元はバチグワで掘り起こしたよ。」
高さ約6m、直径約40㎝のむくの木も、なんと一人で取り除いたそう。
作業を始めて1年後には、かつての3段石積み畑(約15a)が再び姿を現しました。
だんだんと畑仕事に魅せられた武夫さん。
通年で野菜や果物が採れるように、畑にはいつも多くの野菜を植えています。
春は、キャベツ、春菊。
夏は、とうもろこし、さといも、スイカ、おくら、マクワウリ、ゴーヤ、ナス、きゅうり、かぼちゃ、さつまいも、さとうきび。
秋冬は、人参、白菜、キャベツ、じゃがいも、ブロッコリー、玉ねぎ、つくね芋、にんにく、枝豆。
果物は、親が植えたはっさくと、武夫さんがUターン後に植えたみかんがメイン。
ビワ、イチジク、甘柿渋柿も苗木から植え、今では実が成るそうです。

だんだんと畑仕事に魅せられた武夫さん。
通年で野菜や果物が採れるように、畑にはいつも多くの野菜を植えています。
春は、キャベツ、春菊。
夏は、とうもろこし、さといも、スイカ、おくら、マクワウリ、ゴーヤ、ナス、きゅうり、かぼちゃ、さつまいも、さとうきび。
秋冬は、人参、白菜、キャベツ、じゃがいも、ブロッコリー、玉ねぎ、つくね芋、にんにく、枝豆。
果物は、親が植えたはっさくと、武夫さんがUターン後に植えたみかんがメイン。
ビワ、イチジク、甘柿渋柿も苗木から植え、今では実が成るそうです。

また、イノシシや鳥対策として設置したネットには、今までに、こんこん(ヒキガエル)、ミドリバト、カラスバトがかかっていたとか。
「ミドリバトは全身緑色で、びっくりしたよ!」
畑仕事の合間には、農具を入れる小屋を建てたり、水を貯めるタンクを設置し、水位の高さを利用したスプリンクラーを作るなど、試行錯誤の日々です。

雨水をためるタンク
手作りスプリンクラー
毎日、水やりをかかしません
手作り小屋

妻ナミ子さんに「ナフコに行ったら、長いこと動かんのんよ!」と言われるも、「部品を見ては、これとこれを組み合わせて…って考えちゃうんだよ。
あと苗木を見てたら、欲しくなっちゃうね。」と楽しそうに語る武夫さんでした。
武夫さんよりも後にUターンした島民は、武夫さんが整備した畑を見て感動。
その後、自身の畑を整備して、畑を始められたそうです。
「僕は千葉にいたら、定年後はすることがなかったと思う。
都会で楽しむためには、お金もかかる。
島に戻ってもやることがないと言う人がいるけど、暇すぎると何かをしだすよ。
僕はそれが畑だった。本を読んで勉強したり、島の人に聞いたりしながら育てる。
野菜や果物は毎日変化があるから、成長を見るのが楽しいよ。」

島の生活(海編)

「母親の物忘れがひどくなってきて。
兄弟と話し合って、私たち夫婦が島に戻ることにしたの。」
岡田武夫さん、ナミ子さん夫妻は、共に平郡東出身。
ナミ子さんは島に帰ってきてから毎日、母親の食事や入浴のお世話をしています。
ある時、島の人に連れられて、ひじき狩りを体験したナミ子さん。
「ひじきをカマで切るんだけどね、ザクッザクッて!手ごたえが快感で、もうやみつきよー!
ひじきの時期(3月下旬~4月上旬、採取期間約15日)は、毎日海に行くのよ。
それと、海に行くとね、花粉症が治るのよ。くしゃみも出ないの。」
島では、ナミ子さんの他、多くの方がひじきを県漁協に出荷しています。
価格は約10,000円/袋(8.3㎏/袋)。
相場は年によりますが、今年は良い値だったそう。
大好きなひじき狩りをすることが、収入にもつながっています。

乾燥ひじきを手にするナミ子さん

「ひじきの他に、あおさ、わかめ、てんぐさ、岩牡蠣も採るのよ。」
牡蠣はポン酢をたっぷりかけて食べたり、牡蠣飯、フライ、バター炒め、味噌汁の具に。
てんぐさは、ところてんにしたり、コーヒーゼリーにしたり、アレンジは様々です。

ナミ子さんが取ってきたバフンウニの身を、夫の武夫さんと取り出します。
わかめやてんぐさなどを千葉に住む友人に送ると、喜ばれるそう!
「夏はこのところてんがないとね!」と、夫の武夫さん
家製コーヒーゼリー

「野菜は畑にあるし、海の幸は、目の前の海で取れるでしょう。
採れたての新鮮な魚や貝を味わえるなんて、都会では絶対できない贅沢な暮らしよ。
しかも、自分達で取るのも楽しいし、食べるのも美味しい。
生活と遊びが一緒になってるんだから。島暮らしは楽しいわよ。」
岡田家の食卓は、山の幸、海の幸にあふれていますが、Uターンして最初に困ったのは、買い物でした。
「Uターンする前は、食材調達のことを考えてなかったの。
だから、島に帰った時は大変だったのよ。
外食はできないし、買い物する場所や品揃えには限りがあるでしょう。
最初は、どう3食作ろうか悩んだの。
その時、周りの方から野菜をいただいたり、生協を使うと便利だと教えてもらったり。
今では生協を利用するのと、月1回は柳井に出て、お酒、肉、ガソリン、肥料とか、トラックを使って一気に買い出しをしてるのよ。」
今までは、安い商品があればつい買ってしまっていたそうですが、島では余分な買い物や、衝動買いをすることもないため、支出がとても減ったそうです。
千葉県ではパート勤めをしていたナミ子さん。
Uターンを機に仕事を辞めたことで収入は減りましたが、それ以上に支出も減ったため、年金生活でも貯金ができています。

島で暮らすわけ

2016年10月で、Uターン7年目になる岡田夫妻。
島に帰ってきた当時、家は住める状態になく、ツタが室内にも伸びているほどでした。
壊すのにかかる費用は300万、綺麗にするのも300万。
悩んだ末、岡田夫妻は自分たちでリフォームすることにしました。
「家が大きすぎたから、必要な部屋だけ残して、あとは解体したよ。
全くの未経験でも、できるもんだね。
難しいところは、島の大工さんに教えてもらって。
壁や床張りは、なるべく自分でやったよ。」と武夫さん。
Uターンして、半年後。
岡田夫妻が快適に暮らせる家が、完成しました。

家の中には、イラストレーターの娘さんからのポストカードがたくさん!

「島に帰りたいけど、家が住める状態にないから躊躇している人は多いね。
トイレを綺麗にするのに、約20万。
最低限ここだけを直せば、住める家は結構あるよ。」と武夫さん。
生まれ変わった岡田夫妻の家には、子どもや孫の他、以前住んでいた千葉県の友人達も、毎年遊びに来るそうです。
「いつも2~3泊していくのよ。みんなが喜ぶのは、やっぱり食事。
タコ飯、刺身、つわ煮とか、島の食材がすごく美味しいって好評なの。
畑の野菜も、丸かじりしてもらうのよ。」とナミ子さん。
家の近所には、ナミ子さんが「シルバー憩い」と呼ぶ集会が開かれています。
周辺に住む87~96歳までの方々が、ほとんど毎日、井戸端会議をしているそうです。
「暇な時は集まって、みんなで昔話をしてるのよ。
この開放的な時間の使い方がすごく好き。心にゆとりが生まれるの。
都会だと義理の付き合いもあるけど、島では、心からの付き合いができるのよ。」

岡田夫妻は、知り合いに「定年後はUターンしたら?」と呼びかけています。
「千葉にいる孫とは頻繁に会えなくなったけど、生活は以前よりも充実してるの。
独時の島時間は、最初は慣れるまで大変かもしれないけど、とても居心地がいいわよ。」

(インタビュー:井上、香川、吉本)